密着取材 56日目 晴れ
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ヒカリ
夜のまりいずめいとを探索するのは初めてだ。
手持ちのペンライトだけが頼りだ。
そういえば、昨日のちびんずは夜中に何処へ出かけたのだろう。
ムラサキは連れていく事が出来たのだろうか。
今考えると少し悪い事をした・・・
ティーポットの家を横切り、ドーナツ型の木を越え、ポット犬の家も通り過ぎた。
はりきって飛び出して来たのは良いが、思いのほか自然の光源は見つけられない。
それでも根気強く見回り続けていたその時だった。
黄緑色の小さな丸い光源が、夜の闇に一斉に舞い上がった。
一瞬、自分の目を疑ったが間違いない、蛍の群れだ。
場所を確認すると、げんぞうが住む花壇の前の広い花畑だった。
そう言えば花畑の中には、キレイな小川が流れていた。
まさか蛍がこんなにも大量に生息していたとは。
淡い光はあまりに幻想的で、私は目的も忘れてただただ見惚れてしまったのであった。