密着取材 8日目 晴れ
-
どかんさん
恐る恐る入り口に近づいて、中を覗く。
大きな岩を切り出して作ったテーブルと、ルームランナーにダンベル。
どうやらリビングの様だ。
この部屋には誰もいない様だ、と安心したその瞬間だった。
私は何かと目が合った。
地べたに横になった、あの土管だ。
私が追ってきた、あのフラフラと歩く土管だ。
あまりに部屋の置物と同化しているので、私は気づかなかった。
その正体は、土管を被ったうさぎだった。
シュールすぎる。
何も言わず、ただつぶらな瞳で私をジッと見つめてくる。
そのフシギな空気の中、動けずにいた私は、
無意識に「どかんさん...」と、つぶやいていた。